サクラと虹とおにいちゃん

 わたし、シェルティーのサクヤっていいます。ワンコの女の子。毎朝、毎夕、飼い主の“おとうさん”に連れられてお散歩に出かけます。やさしいおとうさんで、お散歩中も声をかけてくれたり、なでなでしてくれたり、わたし、いつもにこにこしてすごしています。
 わたしには“おにいちゃん”がいました。ミカドおにいちゃん。わたしがこのおうちに来る前からいた、ワンコの男の子です。ミカドおにいちゃんは“ざっしゅ”のワンコです。おにいちゃんがまだまだ小さいころ、ほんとなら“しょぶん”されて、死んでしまうかもしれないところを、おとうさんが引き取ってくれたんだそうです。そんなやさしいおとうさんに見守られて育ったミカドおにいちゃんは、おとうさんと同じくらいやさしいおにいちゃん。わたしのほんとの“おにいちゃん”ではないけれど、おうちに来たばかりで不安だったわたしのことを、いつもやさしくめんどう見てくれた、とってもやさしい、ほんとのおにいちゃんみたいなワンコでした。
 初めてのお散歩のとき、ついついおとうさんをひっぱって走り出そうとしちゃうわたしだったけれど、ミカドおにいちゃんはそんなわたしの前に立って、
「こら、サクヤ。ゆっくり歩かないといけないよ。走っていたら、まわりの景色も楽しめないだろ?」
と言って、ゆっくりお散歩することを教えてくれました。
 二回目のお散歩のとき、むこうからきたお散歩の大きなワンコがほえてきたときは、ミカドおにいちゃんはおびえるわたしの前に立って、
「おい、ぼくの妹をこわがらせるんじゃないぞ。」
と言って、大きなワンコをずっとにらんでいました。
 そんなふうに、ミカドおにいちゃんはいつもわたしを大切にしてくれました。わたしは、おとうさんと同じくらい、ミカドおにいちゃんが大好きでした。そんなやさしいおにいちゃんのあとを、いつもついて歩いていきました。

 ミカドおにいちゃんもお散歩が大好きでした。とくに、お花が咲いているのを見るのが大好きで、よくお花のにおいをかいでいました。
「ほら、サクヤ。このお花、きれいだろ。それにとってもいいにおいがするんだよ。」
「くんくん、ほんとだ。とってもいいにおい。ねえねえ、ほかにもいいにおいのお花ってあるのかな?」
「ああ、たくさんあるよ。いっしょにさがしてあげよう。」
 小川の土手や公園へお散歩に連れていってくれるおとうさんも、お花をさがしているときのわたしたちのペースに合わせて、ゆっくり歩いてくれました。
「おにいちゃんは、お花ではどんなお花が好きなの?」
「そうだなあ、いろいろあるけれど、いちばんは春に咲くサクラかな?」
「サクラ?なんだかわたしの名前とそっくりね。」
「おとうさんが言ってたよ。サクヤって名前は、そのサクラの神様の名前からとったんだって。いい名前じゃないか。」
「へえ、わたし、サクラが見たいなあ。」
 秋におうちにきたわたしは、早くサクラが見たくてたまりませんでした。
 そして春になって、初めて見たサクラは、ほんとにきれいでした。おとうさんが連れていってくれたサクラ並木は、ぜんぶサクラの花でいっぱいで、ときどきまい落ちてくるサクラの花びらも、お日さまの光にきらきらかがやいて、とってもとってもすてきな景色でした。
「な、きれいだろ?おとうさんが毎年ここに連れてきてくれるんだ。このサクラのお花見のお散歩が、ぼくはいちばん好きなんだよ。」
 ミカドおにいちゃんは、うっとりした目でサクラのお花をながめていました。
「わたしも大好き。こんなにいっぱいのお花が咲いているなんて、思ってもみなかった。」 わたしは夢中になってまい落ちてくるサクラの花びらを追いかけて、パクッパクッてして、つかまえようとしました。すると、ミカドおにいちゃんも、
「お、おもしろそうだね。サクヤはじょうずにパクパクするなあ。ぼくもやってみようっと。サクヤ、どっちがたくさんつかまえるか、競争だよ。」
 そう言って、いっしょにたくさん遊びました。
 そして、毎年、同じサクラ並木で同じようにお散歩して遊ぶようになりました。

 その年、だんだん春が近づいてきて、ツクシがいっぱい背のびして、ナノハナが土手の散歩道をきれいにいろどって、田んぼにはレンゲの花がじゅうたんみたいに咲いていて、そしてサクラの花が満開のときになりました。
 そのときのサクラ並木は、今まででいちばんきれいに咲いていました。見上げればうすもも色の花がいっぱいで、風にゆらいでまい落ちる花びらもいっぱいで、道にはサクラのじゅうたん、それに夕方だったので夕日にきらきら光ってまう花びらは、まるでまほうつかいのつえから出てくる光のようでした。
「わあ、ミカドおにいちゃん。すごいね。きれいだね。」
「ああ、こんな景色、今まで見たことがないよ。」
 花びらをつかまえる競争は、なんだか宝石を集めるような気持ちでした。わたしもおにいちゃんも、ついつい時間をわすれて遊んで、気がつけばお日さまのすがたも見えなくなっていました。
「さあ、明日もここに連れてきてやるから、今日は帰ろうね。」
 おとうさんにそう言われてようやく帰りました。でも、次の日はいっぱい雨がふってしまって、ざんねんだけどその雨でサクラはぜんぶ散ってしまいました。
「あ~あ、つまんないな。あんなにきれいに咲いてたのに、もう見られないなんて。」
 わたしががっかりしていると、ミカドおにいちゃんは、
「来年、また連れていってもらえばいいじゃないか。きっと来年も、今年ぐらいにきれいに咲いてくれるさ。そしたら、いっしょにお花見をしよう。約束だよ。」
と言って、わたしをなぐさめてくれました。ほんとにやさしいおにいちゃんでした。

 フジの花のころ、おにいちゃんのようすが少しおかしくなりました。それまではおとうさんのベッドの上にひょいっと飛びのるのが好きなおにいちゃんなのに、まったくのらなくなりました。
「ミカドおにいちゃん、最近おとうさんのベッドにのらないね。」
「サクヤにゆずってあげたんだよ。サクヤもおとうさんが大好きだろ。」
 そんなことを言っていました。でも、ちがったんです。

 アヤメの花のころ、おにいちゃんの後ろ足がガタガタふるえだして、お散歩をしていても足がもつれるようになったんです。
 心配したおとうさんは、おにいちゃんをお医者さんにつれていきました。そのときは、“ヘルニアじゃないか”って言われたそうです。背なかの骨のあたりの病気だって。痛み止めのおくすりや他にもいろいろなおくすりをもらって、それから少しの間はよくなったけれど、またすぐに足がふるえ出して、だんだん歩くのが大変そうになってきました。そんなミカドおにいちゃんをかわいそうに思って、おとうさんは後ろ足を支えるハーネスを用意してお散歩するようにしました。お散歩が大好きなミカドおにいちゃんは、それをつけて、うれしそうにお散歩に行くようになりました。
「おにいちゃん、大変じゃないの?」
「そんなことないよ。後ろ足がなんだか変だけど、こうやってお散歩ができるならうれしいよ。」
「いつまでそんなのをつけてなくちゃいけないの?」
「お医者さんがおくすりでだめなら手術かなって。背なかを切って、悪いところをなおすんだって。それがうまくいけば、きっともとどおりだよ。」
 そんなことを言っていたミカドおにいちゃん。おにいちゃんは、必ずなおるんだって信じていました。もちろん、わたしだって、おとうさんだって。 

 アジサイの花のころ、もういちどお医者さんにみてもらいました。そしたら、ヘルニアじゃないって言われたんです。背なかの骨の中に、悪いできものができていて、それが後ろ足を動かなくさせているんだって。
 お医者さんから帰ってきたおとうさんは、ミカドおにいちゃんにあやまっていました。
「ごめんな、ミカド。もっと早く気がついていたら。そしたら、もっと早く手術できて、足だってここまで悪くならなかったのに。」
 でも、ミカドおにいちゃんは、笑顔でおとうさんの手をペロペロなめて、こう言っていました。
「そんなことないよ、おとうさん。ぼく、必ずよくなるから。」
 それからすぐにおにいちゃんは、遠い街の大きな病院に入院しました。そして、そこで背なかの骨の中の悪いできものを取る手術をしました。

 アサガオの花が咲き始めたころ、おにいちゃんが入院して三週間くらいたったでしょうか、おにいちゃんはおうちに帰ってきました。帰ってきたおにいちゃんを見て、わたしはびっくりしました。背なかの毛はすっかりそられていて、皮がむきだし、そして、ぬわれた傷あとがありました。
「おにいちゃん、大変だったね。痛くない?だいじょうぶ?」
 ミカドおにいちゃんは、それでもなにごともなかったように、こう答えました。
「だいじょうぶたよ、サクヤ。ぼく、がんばって手術をしてきたから、ぜったいによくなるよ。」
 そんなふうに強がりを言っていたおにいちゃんでしたが、おとうさんはつらそうな顔をしていました。
「ごめんな、ミカド。ほんとに、ほんとに、もっと早く気がついてあげられたなら。」
 今にも泣き出しそうでした。そんなおとうさんを見て、笑顔でおとうさんの手をペロペロなめて、おにいちゃんはこう言いました。
「そんなことないよ、おとうさん。ぼく、必ずよくなるから。ぼく、ぜったいに負けないから。」
 だけど、ほんとは大変なことになっていたんです。ミカドおにいちゃんの背なかの骨の中の悪いできものは、ずっと奥のほう深くまで広がっていて、ぜんぶは取りきれなかったって。だから、もう後ろ足はいうことをきかないし、おにいちゃんの命も一か月もてばいいほうだって、病院のお医者さんから言われたって。
 それでも、ミカドおにいちゃんはあきらめませんでした。まだ立てる前足を使って、からだをひきずって歩いていました。あの後ろ足を支えるハーネスを使って、お散歩だって出かけました。もちろん、前とくらべたらゆっくりなお散歩だし、そんなに長くはお出かけできません。でも、わたしは、いつものようにおにいちゃんのうしろをついて歩きました。ほんとに一か月の命なのかな?ゆっくりでもお散歩を楽しんでいるおにいちゃんを見ると、信じられませんでした。
「ごめんね、サクヤ。もっと早く歩いたり、長くお散歩できたらいいのに。」
「いいのよ、おにいちゃん。こうやっておにいちゃんとお散歩できるのが、わたしはうれしいの。」
「そう言ってくれるとうれしいなあ。あ、今日ね、おとうさんが後ろ足用の車いすを買ってくれるって、そう言ってた。十日くらいでできるって。そしたら、今よりもっと早く、たくさんお散歩できるからね。」
「ほんと?わたしもまちどおしいなあ。」
 そんなおはなしをした次の日でした。ミカドおにいちゃんは前足で立つのがやっとで、からだをひきずって歩くことさえできなくなってしまいました。
「ごめんね、サクヤ。いっしょにお散歩、行けなくなっちゃったね。」
 ミカドおにいちゃんはさびしそうに笑って、そう言いました。
「今はだめでも、でも、きっとよくなるんでしょ?おにいちゃん、そう言ったでしょ?」
 おにいちゃんはさびしそうに笑ったまま、だまってしまいました。
 おとうさんも、また、
「ごめんな、ミカド。ほんとに、ほんとに、あのときもっと早く気がついてあげられたなら。」
 そう言って泣きそうになっていました。ただ、おとうさんもあきらめません。ミカドおにいちゃんとお散歩に行けるように、今度はドッグスリングっていう、ワンコをだっこできるふくろみたいなものを見つけたんです。

 ヒマワリの花がいきおいよくお日さまにむかって咲くころになりました。手術した日から一か月とちょっと、ミカドおにいちゃんは、歩けなくなっていたけれど、でも、まだがんばっていました。そして、そのころに、あのドッグスリングっていう、だっこのふくろがとどきました。最初はそれが何なのかわからなかったおにいちゃんは、ふくろに入るのをいやがっていたけれど、そうやってお散歩できるってわかると、とてもうれしそうでした。
「あ、ほら、サクヤ。大きなヒマワリが咲いているよ。すごいね、きれいだね。」
 おとうさんにだっこされているおにいちゃんは、下を歩いているわたしより高いところから景色をながめているから、すぐにいろいろなものを見つけます。
「あ~ん、ずるい。おにいちゃんがなんでもすぐに見つけちゃう。ねえ、どこにヒマワリがあるの?ねえ、どこ?」
「ほら、あそこ、あそこだよ。」
 わたしたちワンコの言葉がわかるのか、おとうさんはそんな大きなヒマワリの前に立ちました。すると、おにいちゃんはヒマワリをくんくんします。
「わたしも、わたしも。」
 やっぱりわたしたちワンコの言葉がわかるのか、おとうさんは今度はわたしもかかえ上げて、ヒマワリをくんくんさせてくれました。
 公園の、お花がきれいに咲いている花だんでは、今度は小さくしゃがみこんで、ミカドおにいちゃんにもお花をくんくんさせていました。
「わたしたちのおとうさん、やさしいね。」
「うん、ぼくたちのおとうさんは、ほんとにやさしい。小さいときからぼくのいのちをすくってくれた。今だってぼくのいのちをすくおうと、いっしょうけんめいだ。だから、ぼくはおとうさんが大好きだし、おとうさん、それにサクヤのためにだって、なんとかがんばって生きるんだ。」
 からだはあまり動かないけれど、ミカドおにいちゃんの目はきらきらかがやいていました。
 お医者さんが言っていた一か月は、こうやってみんなが笑顔になれたまま、すぎていきました。

 ヒガンバナがもうすぐ咲くころ、おにいちゃんのからだはすっかり弱っていました。おしっこも自分では出せなくなって、おとうさんに助けてもらうようになりました。ごはんはおとうさんがゆっくりスプーンであげていました。お水ものめないから、これもおとうさんに助けてもらって、からだにお水を入れてもらうようになりました。
 それでも、おにいちゃんは言っていました。
「ぜったいになおすんだ。」
って。
 ドッグスリングのお散歩にだってお出かけしました。お散歩仲間のいろんなワンコの飼い主さんたちが、ミカドおにいちゃんに声をかけてくれるようにもなりました。
「がんばってるね。」
「いい子だね。がんばれよ。」
 中には、おにいちゃんのことを気づかって、わざわざおうちからおにいとゃん用のおやつを作って持ってきてくれる人もいました。そんなときのおにいちゃんは、とてもうれしそうでした。もちろん、わたしにもおすそわけがあって、それもうれしかったし、そんなわたしをおにいちゃんはやさしい目で見てくれていました。おとうさんも、こうやってみんなでなかよくお散歩できるのが、とってもうれしそうでした。
 こうしてお医者さんが言っていた一か月はすぎて、もう二か月がすぎました。もしかしたら、まだだいじょうぶかもしれない、そしてここから、ほんとによくなっていくかもしれない、わたしは少しだけそう思っていました。

 そんなある日の、雨の夜でした。
 ミカドおにいちゃんの息づかいが少しおかしくなってきました。おとうさんはおにいちゃんにかけよって、ようすを見ていました。
 しばらくすると、息づかいは落ちつきました。それを見てほっとしたおとうさんは、ミカドおにいちゃんによりそったまま、話しかけていました。
「ミカド。お前はがんばってるよな。ほんとはからだはつらいだろうし、痛いのかもしれないのに、ちっともほえたりうなったりしないで、いい子でいるよな。おとうさんのためにがんばってくれているよな。ほんとにありがとうな。」
 それを聞いたミカドおにいちゃんは、おとうさんの言葉にこたえていました。
「そんなの、あたり前じゃないか。ぼくはおとうさんにずっと助けられてきたんだよ?だから、ぼくはがんばれるんだ。ぼくはずっとおとうさんのそばにいるんだ。」
 おとうさんには、甘えたような声にしか聞こえなかったかもしれません。でも、おとうさんは、ずっとおにいちゃんをなでながら、
「お前はいい子だよ。ほんとにいい子だ。一か月だなんて、お医者さんは言ってたけれど、それ以上にがんばっているんだ。そうやって、ずっとぼくのそばにいてくれる。ほんとにいい子だ。」
と言いました。もしかしたら、おとうさんにはほんとにわたしたちの言葉がわかっているのかもしれません。
 頭やからだをなでられながら、とても気持ちよさそうにしているミカドおにいちゃん。目がとてもうれしそうでした。そうしているうちに、しだいにミカドおにいちゃんの息が弱くなってきて、その間かくも短くなってきました。
「ミカド?ミカド、だいじょうぶかい?ミカド?」
 おにいちゃんの息づかいが変わったことに、おとうさんも気がつきました。そばで見ていたわたしも、
「おにいちゃん?聞こえる?おにいちゃん、がんばって。」
とずっと言っていましたが、その声はとどいていたかどうか。ただ、弱くなっていく息づかいの中で
「うれしいなあ。おとうさんにいっぱいなでられて、サクヤもそばにいてくれて。ぼく、しあわせなんだなあ。」
 そう言って、うれしそうな目が、やさしい目が、だんだん閉じられていきました。そうして、ミカドおにいちゃんの息は、しずかに止まってしまいました。
 おとうさんは何度も何度もおにいちゃんの名前をさけびました。だけど、おにいちゃんは何もこたえませんでした。それから、おとうさんは、ぴくりとも動かなくなったおにいちゃんのからだをずっとなでながら、
「ごめんな。ありがとうな。ごめんな。ありがとうな。」
と、なみだをぽろぽろこぼして、言いつづけていました。
 そのとき、わたしには何がおきたのか、まったくわかりませんでした。でも、おとうさんが動かなくなったミカドおにいちゃんのからだをなでながら、
「サクヤ。ミカドがね、遠いところに行っちゃったよ。遠い遠いお空の上。きっとそれは虹の向こうがわ。ミカドのようないい子が行く、きっとすてきな場所に。」
 おとうさんはそう言うと、またぽろぽろとなみだをこぼして、声をおさえて泣いてしまいました。わたしもずっとおとうさんにぴったりよりそったまま、ずっと泣いていました。
 その晩は、ミカドおにいちゃんが大好きな場所だったおとうさんのベッドの上で、みんなで横になりました。おとうさんは、ずっと動かなくなったミカドおにいちゃんをなでていました。わたしも冷たくなったおにいちゃんにぴったりくっついて、そのからだを温めてあげようとしていました。

 サクラの咲くころになりました。また、いつものサクラ並木にお散歩にきました。
 その日はついさっきまで雨がふっていたけれど、夕方にはお日さまが顔を出して、やっぱりみごとな満開のサクラがきらきらとかがやくように咲いていました。わたしはパクッパクッて、まい落ちる花びらをつかまえようとして遊びました。おにいちゃんがいたころのように。
「ミカドとやっていた遊びだね。ほんとにサクヤはじょうずに花びらをパクパクするなあ。おとうさんもやってみようっと。サクヤ、どっちがたくさんつかまえるか、競争だよ。」  おとうさんが言いました。まるで、あのときのおにいちゃんみたいに。ああ、きっとおとうさんの心は、今でもおにいちゃんとつながっているんだな、て思いました。ミカドおにいちゃんはいなくなっても、その心はずっとそばにいてくれてるんだって。そう思ったら、とってもうれしくなりました。
 すると、おとうさんはお日さまとは反対のほうを見て、わたしにこう言いました。
「サクヤ。見てごらん。虹だ。虹が出ているよ。」
 おとうさんの目の先を追ってみると、ほんとに虹が出ていました。くっきりはっきりと、大きな虹が二つ重なって。満開のサクラの空の上に、とってもきれいな虹がかかっていました。
 ああ、ミカドおにいちゃんが約束を守ってくれた。虹の向こうから、今、わたしたちといっしょにお花見をしているんだ。
 ありがとう、ミカドおにいちゃん。わたしもおとうさんも、ずっとミカドおにいちゃんといっしょなんだね。

この記事へのコメント

  • そとやま

    先生ーこんにちは✨😃❗
    新しい学年になり、私は7組になりました。みんなもとても元気です!!あ、遅くなりましたが誰だか分かりますよね??
    新しい中学でも頑張ってください!
    2018年04月06日 22:23
  • サクヤ

    >そとやまちゃま
    コメント、ありがとうございまちゅ💕
    お父さん、分かったっていってまちゅよ~😊
    ご進級、おめでとうございまちゅ🎵
    そとやまちゃまも、ガンバってくだちゃいね~✨
    (サクヤ)
    2018年04月07日 19:52

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