大きな海とミカド君 ~ つぶやきシリーズ ~

皆さん、こんばんは。

思い立ったが…です。
波打ち際まで近づいてしばらく波の音に耳を傾けているミカド君を見た時に、何か書けそうだな、と思った昨日。
さてさて、どんな結末になるやら、自分でも見通しがつかないままに書き始めてみます。
いざ、挑戦!




大きな海とミカド君

ザザー…、ザザー…。
初めて聞く波の音。
そして、初めて見る、寄せては返す波の様子。
めずらしいものが大好きなミカド君は、初めての海を見て、しばらくは感動して動けませんでした。
「うわぁ、いっぱいのお水だ!」
立ち止まって辺りをきょろきょろと眺めているミカド君。
おねえさんのヒナちゃんとおにいさんのムサシ君は、初めての海を見て、少し驚いてしまって、近づけません。
「ミカド~、あぶないよ!そのお水、生きているみたいにこっちに向かってくるじゃないか。飲み込まれてしまったらどうするの?」
「そうよ、もう少し離れたほうがいいわよ。」
でも、ミカド君は平気でした。
何でもめずらしいもの、初めてのものには、いつも興味を示すミカド君ですから。

「ミカド。今日は波がおだやかでよかったね。」
お父さんがミカド君に言いました。
「『なみ』?そうか、この生きているようにお水が動いているのは、『なみ』っていうんだ!」
しばらく波の動きを見ていたミカド君。
波の音が心地よくって、とても気分がよくなってきました。

すると、ザザーという波の音の中から、声が聞こえてきました。

「ミカド君?ミカド君っていうのね?こんにちは。」
だれかがミカド君を呼んでいます。
その声のほうを見てみると、そこには海しかありません。
「だれ?ぼくをよぶのはだれ?」
「フフッ、私ですよ。目の前の海ですよ。」
どうやら波の音を使って、大きな海のおばさんがミカド君に話しかけているようです。
「海?海さんなの?うれしいなぁ!またおはなしが聞ける!」
「あら?おはなしが大好きなの?」
「うん!ぼく、いろいろなものからおはなしを聞くのが大好きなんだ。初めまして。海さん。ぼく、ミカドです!」
「いえいえ、こちらこそ初めまして。どうかしら?初めて私を見た感想は?」
素直なミカド君は、嬉しそうに答えました。
「おっきい!広い!こんなにおっきなお水がたまっているなんて思わなかった!」
「フフフッ、そうね。初めて私を見ると、みんなおんなじことを思うわね。」
「雨さんから聞いたことはあるけれど、こんなにおっきいなんて想像できなかったんだ。ねえ、海さんはどこまで続いているの?」
「ずっとずっと遠くまで。果てはないのよ。遠くって深くって。それが私、海なのよ。」
果てがないほど続いている海。
ミカド君は本当に驚いてしまいました。

「海さんも、ずっと昔からこの『ちきゅう』って星にいるの?」
「ええ。そうですよ。そうねぇ、この世の中に初めて生き物が生まれたのも知っているわよ。だって、みんな私から生まれたようなものだからね。」
そんな昔から海があるとは、またまたミカド君はビックリです。
それに、初めて生き物が生まれたのが海からだとは、想像もできませんでした。
「ええ?だって、こんなお水の中じゃ、ぼくなんておぼれちゃうよ~。そんなこと考えられないよ。」
「いきなりワンちゃんが海から生まれたりしないわよ。少しずつ少しずつ姿や形を変えながら、私から大地へと上がっていって、今の生き物の形になっているのよ。それに、私の中にはたくさんの生き物が生きているわよ?」
「海さんの中に生き物?」
「そうねぇ、『おさかな』って聞いたことがあるかしら?『おさかな』とか『かい』とか、それこそもっと小さな生き物から、もっと大きな生き物まで、この私の中で生きているのよ。」
さすがにミカド君も「おさかな」は知っていました。
それはおうちの「にんげん」のご飯の中に出てくるものだからです。
でも、それがこの海の中で生きているものとは知りませんでした。
「海さんから生き物が生まれてきたなんて、だったら、海さんはみんなのお母さんだよね!」
「あら?そう言ってくれるなんて、私もうれしいわ。ありがとう。」
海のおばさんは、そう言いながら波の音でくすくす笑っていました。

「でも、僕なんかが海さんに入ったら、ほんとうに息が続かないかもしれないね。苦しくって、死んじゃうかも。」
すると、海のおばさんは、少し怒ったように波を荒立てました。
「簡単に…、簡単に死ぬなんて言ってはいけませんよ!」
「え?あ…、ごめんなさい。」
ミカド君は少しオドオドしてしまいました。
それまで優しかった海さんだったのに、どうして怒ったのでしょう?
「ミカド君が私の中に入ったら、きっと生きようとして一生懸命泳ぐはずよ。そして、なんとしてでも大地さんにたどりつこうとがんばると思うの。あなたには、ううん、生きているものみんなは、生きることに一生懸命なの。」
「生きることに一生懸命?」
海さんは、またもとの優しい波音を立てて、話し始めました。
「私は、さっきも言ったように、遠くまで、そして深くまで続いているの。深いところでは、このお日様の光が届かないくらいに暗くて、そしてとても冷たくて、きっと大地さんで生きている生き物は生きていけそうもないところ。でもね、そんなところでも、ちゃんと生きている生き物がいるのよ。」
「ええ?暗くて冷たいところでも生きているの?」
いったいどんなところなのでしょう?
暗くて何も見えないところ。
冷たくて体が凍えそうなところ。
そんなところで生きている生き物がいることが、ミカド君にはふしぎでなりません。
「ええ。そんなところでも、ちゃんと生きていて、ちゃんと子供を産んで、大昔から今日まで、命をつなげている生き物はたくさんいるのよ。」
「あったかいお日様の力がないのに、それでも生きていくなんてすごいよ!」
「『生きる』ってことは、それだけでたくましいことなのよ。どんなに大変な場所でも行き続けようとしていること、そして子供を産んで命をつなげていること、とてもたくましくて、強いことだと思うでしょ?」
「…うん!」
「ミカド君もお母さんからもらった命があるわ。そして、その横にいる『にんげん』があなたをだいじに育ててくれているでしょ?だから、どんなことがあっても、『生きる』ってことを大切に考えてほしいわ。そうすれば、どんなことにもくじけない、強くてたくましい『命』になっていくのよ。暗くて冷たいところでも、一生懸命に生きている生き物に比べたら、大地さんの上でお日様の力をいただいているあなたたちはとても幸せなの。だけど時々、大地さんの上で生きている生き物は、『生きる』ことのたくましさや強さを忘れることがあるわ。『生きる』ことが当たり前なんて思ってしまうのでしょうね。」
「うん。ぼくもそうだよ。今、海さんに言われるまで、生きているのは当たり前だと思ってた。」
「では、今はどうかしら?」
「暗くて冷たいところで生きている生き物って、一生懸命なんだよね。強くないと生きていけないんだよね。だから、『生きる』ってことは強いことだし、『生きる』ってことに感謝しなくっちゃいけないんだよね。」
「そうよ。生きているだけで、それだけでもたくましいこと。強いことなの。そして、生きていられるのは、いろいろな力をたくさんのものからもらっているの。そう、感謝するってことは大切なことよね。」
ミカド君は、何だかさっきよりも感動しています。
「生きる」ことの大切さを、海さんから教えてもらったから。
「海さん。ありがとう。やっばり、海さんは全部の生き物のお母さんだね。『生きる』ことの大切さを教えてくれるんだもの。」
「どういたしまして。みんな私から始まった『命』ですからね。私はそれを大切にしてほしいだけなのよ。」
「ありがとう。ほんとうにありがとう!」

海のおばさんとのおはなしを終えたミカド君は、ふとお父さんのほうを振り返りました。
お父さんも、今の話を聞いていたのかな?
なんだかニコニコうれしそうな顔をしています。
「お父さん、ねえ、お父さん。あのね。今、海さんがね、すてきなおはなしを聞かせてくれたんだよ!」

ミカド君は、急いでお父さんに向かって走り出しました。





それでは、明日が皆さんにとって心あったまる1日でありますように。


おやすみなさい。











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この記事へのコメント

  • mayu_suz

    今の季節、海ってすごく寒~い、って感じがしちゃうけれど、ミカドくんはさすがに犬だけあって全然寒そうじゃないんですね。

    心温まるお話をありがとうございました。
    2010年01月13日 01:18
  • めぐたん

    改めて生きることの大切さを見直しました。
    生きるってあたりまえのように思えるけどすごいことなんですよね。
    強くてたくましい!
    感謝の気持ちも大切ですね。
    「死にたい」って口にする人もいます。
    きっと本音は、生きたい、助けて、なんでしょうね。
    2010年01月13日 05:37
  • mayu_suz様>
    コメント、ありがとうございます。
    ミカド君は元気いっぱい、好奇心いっぱいの男の子です。甘えん坊でもありますけどね。
    2010年01月13日 20:20
  • めぐたん様>
    コメント、ありがとうございます。
    『生きる』ってこと、それだけで素晴らしいと思うんです。それにどんな生き物も生きていくのは、本当に大変な中で生きている。それだけで、強くて逞しい。そう思っちゃうんですよ。ミカド君のおはなしで、伝えたいものが伝わるといいのですけどね。
    2010年01月13日 20:22

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