妖精さんとムサシ君 ~ つぶやきシリーズ ~



妖精さんとムサシ君

ぼくは、その日、お散歩をたくさんして、とってもくたくただったんだ。
だから、お父さんの横で、いつの間にかすやすや眠っちゃって…。
気持ちよくて、あったかくて…。


「ねぇ?起きてる?」
だれだろう?
今まで聞いたことのない声だった。
「ねぇ?ねぇってば。」
「だれだよ~?せっかく気持ちよく寝ていたのに。」
すると、僕の前には、見たこともない小さな「にんげん」がいたんだ。
「にんげん」?
ううん、ちがった。
「にんげん」によく似ているけれど、虫みたいな羽根をつけて、僕の前に浮かんでいる。
この前の「しょうがくせい」とか「ようちえん」とかいっている「にんげん」の子どもたちより、もっとずっと小さい。
そうだなぁ、ぼくの耳の大きさくらいかな?

「あっ!起きた。あら?ちがう?起こしちゃったのかしら?」
「そうだよ~。あんまりしつこいから目がさめちゃったよ。」
「ごめんなさい!だって、おはなしできる子がなかなか見つからなくって、ちょっとさびしかったの。」
「ねぇ。君はだれなの?」
そう聞くと、目の前の小さな子は、ぼくの目の前をくるくるって3回も宙返りして飛んでみせて、こう答えたんだ。
「わたし?わたしは妖精!」
「ようせい?」
「そう、妖精よ。ここのおうちのお花を守る妖精なの。」

「妖精って、何なの?」
「う~ん、むずかしい質問をするのね。そうねぇ、小さな神さまって思ってくれる?」
「小さな神さま?へえ、神さまの仲間なんだ。」
「そうよ。でも、ちょっとイタズラ好きだけどね。」
その小さくてかわいい子は、妖精。
初めて見る?
待てよ?前にもどこかで会った気がした。
そうだ!
川の土手だ!
あそこでお花の近くや川の近く、あちこちで笑っていたような声がして、何か飛んでいるのを見つけて追いかけたけど、逃げられちゃったんだ。
「君に会ったことがあるよね?」
「残念でした~!初めてよ。」
「え?だって、この前、川の土手で…。」
「わたしの仲間はたくさんいるの。お花を咲かせてあげたり、葉っぱのお手入れをしてあげたり、いろいろとお手伝いをしているの。」
「でも、なぜ君はこのおうちにきたの?」
すると、おうちの「にんげん」のために「おりょうり」をしているお母さんを見ながらこう言ったんだ。
「おそこの『にんげん』、お花が大好きなの。おうちの前にお花をたくさん植えているのよ。それと、あなたの横にいる『にんげん』も、夏の暑い時には、よく水をくれたりしていたの。お花にとってもやさしいおうちだから、だったらわたしもお手伝いしようって、そう思ってきたのよ。」
そういえば、いつもおうちの「げんかん」の前には、いつもお花がたくさん咲いている。
お母さん、お花が大好きだからなぁ!

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でも、ぼくはこの前、土手で会った子たちしか見たことがない。
きっと、こんな街の中では数が少ないんだろうな、と思って、聞いてみたんだ。
「ぼくね、いろいろなおはなしを聞いているから、知ってるんだ。『こんくりーと』とか『あすふぁると』とかがいっぱいあるところだと、君たちって少ないんだろ?」
そしたら、けらけら笑うんだ。
「だれがそんなことを言ったの?」
「え?だって、木のおじさんとか大地さんとか、『にんげん』がいろいろなものをこわしているって…。」
そしたら、またけらけら笑うんだ。
「それは木や花や生き物が少なくなっているってことでしょ?わたしたちは決して少なくなってなんかいないの。」
どういうことなんだろう?

「そうね、たとえばこんなおはなしなら、わかるかしら?」
すると、妖精さんはおはなしを始めたんだ。
前に聞いた、木のおじさんの「せんそう」のおはなし。
「にんげん」がたくさんの「ばくだん」を落として、街を真っ赤に燃やしてしまった、あのおはなし。
「…でね、街はみんな燃えちゃって、木も花も生き物も、もちろん『にんげん』も、たくさん死んじゃったわ。」
「悲しいね…。」
「だけど、今、街の中には木が生えているし、花も咲いている。どうしてかわかる?」
そういえばそうだ。
街には木も生えているし、お花も咲いている。
「ねぇ、どうしてなの?」
「それは、わたしたちがいるからなの。燃えてしまった木も、根の中では生きたい生きたいって叫んでいるの。お花だって、燃えてしまっても種を残したり球根をのこしたりして、生きたい生きたいって叫んでいるわ。その叫び声があれば、わたしたちはどこへでも飛んでいくのよ。」
「じゃあ、妖精さんは『せんそう』の火で死んだりしないんだね!すごいや!」
「ええ、すごいでしょ?だって、わたしたちはこの星から生まれて、この星に帰っていくの。何度も何度も繰り返しね。この星が死なないかぎり、わたしたちが死ぬなんてことはないのよ。」
「星から生まれて、星に帰っていく?」
「この星はね、強い星なの。ちょっとやそっとじゃ負けたりしないの。『せんそう』で燃えても、『生きたい』という叫びがあれば、必ず助けてくれる。どこかの森がなくなっても、そこで芽を出そうとしている草があれば、なんとか力になろうとしてくれる。そのためにわたしたちが生まれて、お手伝いをするのよ。」
「この星って、本当に強いんだね!」
「それとね、『せんそう』なんてばかなことをする『にんげん』もいるけど、森や花や生き物を、海や川を元通りにしようってがんばっている『にんげん』もおおぜいいるの。このおうちの『にんげん』だって、お花を大切にしてくれているでしょ?心のやさしい『にんげん』がいるんだったら、わたしたち妖精も負けてなんかいられないじゃない。」

ぼくたちが生きているこの大きな星は、ちゃんと生きているんだって、この時、初めてわかったんだ。
こんな小さな妖精さんを生み出して、いろいろな生き物の命を育ててくれているんだ。
そして、どんなに大変なことがあっても負けない、強い強い星なんだ。
ぼくたちは、そんな強い星に守られて生きているんだ。

「時々、『あすふぁると』のさけめに咲いているお花もあるでしょ?あのお花が咲くお手伝いをしているのもわたしたち。どんなに大変なところだって、私たちがいるかぎり、そして、そのお花が『生きたい』って願っているかぎり、ぜったいに助けてみせるんだから!」
「妖精さんも、この星さんも、本当に強いんだね!」
「ええ、そうですとも!」
妖精さんがまたけらけら笑い出した。

「あとは、心のやさしい『にんげん』がもっともっとたくさんふえてくれれば、わたしたちの仕事も少しは楽になるのだけど。それって、少しぜいたくかしら?」
「ううん、だいじょうぶだよ。ぼくのおうちの『にんげん』だってそうなんだし、もっともっといっぱいそんな『にんげん』がいると思うよ!」
「そうね。『にんげん』だって、この星が生んだ生き物ですもの。本当なら、わたしたちもあなたたちも、お花も木も、ほかの生き物も、そして『にんげん』も、おなじ、この星から生まれた仲間同士なの。それに気がついている『にんげん』が、きっとたくさんいるわよね!」
「うん!きっとた~っくさんいるよ!」
「ウフフ…、フフフ…!」
また妖精さんが笑い出した。
「な、何がおかしいの?」
「いいえ、あなたもやさしいのねって。すてきなかわいい子ねって、そう思ったらうれしくなっちゃった!」
なんだか…、照れくさくなっちゃった……!
ぼくは顔が真っ赤になるのを見られたくなくて、うつむいて、目を閉じたんだ…。

………・?
目を開いたら、ぼくはお父さんの布団の上で横になっていたんだ。
あれ?
ぼく、今、夢でも見ていたのかな?
「お?ムサシ。目がさめたのかな?」
お父さんが、ぼくの顔をのぞきこんできた。
「なんだか、クゥクゥって寝言を言ってたぞ?いい夢でも見てたのかい?」
にこにこの笑顔のお父さんが、ぼくをなでてくれた。
やっぱり夢でも見ていたのかなぁ?

…と思ったら!

さっきの妖精さんが、お父さんの肩の上にすわっていたんだよ…!









それでは、明日が皆さんにとって夢いっぱいの1日でありますように。


おやすみなさい。













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この記事へのコメント

  • oriver

    道を歩いていて、何気なく目を向けた先に小さな花があったりするのは、妖精の仕業かしら♪

    ムサシ君は気持ちよさそう
    2009年12月01日 20:26
  • oriver様>
    コメント、ありがとうございます。
    妖精っているといいなぁ、そんな感じで書き始めました。どうしてもティンカーベルのイメージが少々先行していますが…。
    いつか、本当に出会いたいですね。

    ムサシ君、ぼくの手のひらに顔を乗せて寝るのが大好きですよ。
    2009年12月01日 21:33
  • トヨママです

    <妖精>が、見れるくらい・・・
    綺麗な心の人間になりたいなぁ~~~♪

    今日から師走です。
    周りに惑わされることなく・・・ゆったりと今年・・・終えたいなぁ・・・。
    2009年12月01日 21:56
  • ばっかバッハ

    妖精さん…
    何だかいるような気がする~♪
    あると思います!( ̄- ̄)

    ところで、「蚊取犬」ってもしかして、
    「カトリーヌ」とかけてるんですか?
    最近、やっと気づきました…(遅っ)

    蚊を取る犬とは、なんじゃらほい?とか考えていました(笑)
    2009年12月01日 23:45
  • mayu_suz

    妖精。。。いたらいいですねぇ。
    動物ともお話ができたら、いいですねぇ。

    そのくらいキレイな心を持って生きて行きたいです。
    年齢を重ねるごとに、忘れていっているような気がします。
    2009年12月02日 12:31
  • matsuさん

    こんばんは
    動物目線のつぶやきシリーズ いいです
    動物目線でほのぼのしながら、実はなにか訴えかけてる
    さすがです
    2009年12月02日 23:56
  • トヨママ様>
    コメント、ありがとうございます。
    きっと見ることができますよ。僕には無理かも…。

    師走ですね。僕が走り回らなきゃいけないのに、今月いっぱい休養です…orz
    2009年12月03日 03:44
  • ばっかバッハ様>
    コメント、ありがとうございます。
    妖精、いますよ!
    僕は何となくそう思っています。

    いや、本当にミカド君は飛んでいた蚊をパクッと食べたんです。それで蚊取犬。カトリーヌと重なるところが気に入ってつけたんです。
    2009年12月03日 03:47
  • mayu_suz様>
    コメント、ありがとうございます。
    妖精を見ることや動物と話をすること、僕にもそんな心がほしいですね。
    僕はワンコの目を見て想像している、きっとこう言っているんだろう、そんな感じで書いています。
    ても、子どもたちって、本当にいろいろなものとおはなししますよね。あれがうらやましくてたまりません。
    2009年12月03日 03:50
  • matsuさん様>
    コメント、ありがとうございます。
    僕らが必要なのは、そんな目線じゃないかなって思って書いています。
    ペットを飼うってことは、もしかしたら、母犬や母猫にとっては、誘拐されたに等しいのではないか?そこからこの「つぶやきシリーズ」は始まったんです。
    そしたら、いろいろなことを書かなきゃいけないような気がして…。
    で、続けているだけですよ。
    2009年12月03日 03:53

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