子ネコのゲンキのおはなし ~ つぶやきシリーズ ~

皆さん、こんばんは。

今日は雨で、まぁ、寒いこと寒いこと!
その中で、まぁ、元気なあいさつだこと、この涅さん!
みんな、だんだん僕につられてきたようです。
そして、久々に自分のクラスの教壇に立ちました!
ちょうど、あいさつについての話し合いをクラスでやっていましたから、先生からのおはなしということで。

「おはようございます、の『お』から『す』まで、はっきり言うと、お互い気分がいいよ!」
今日、帰りに僕にあいさつしてくれた生徒たちは、「さようなら」の「さ」から「ら」まで、とてもはっきり言ってくれました。
さぁ、明日からまたあいさつに変化が生まれるはずだぞ!

ども。以前、教え子が送ってくれた画像のニャンコです。

画像


子ネコのゲンキのおはなし


“ごめんね、ほんとうにごめんね…”
あの寒い夜、おうちの「にんげん」が、ぼくたち4人を箱の中に入れて、「じんじゃ」とかいうところの「たてもの」のそばにおいていった、そのときの最後の言葉。
最初は、何をあやまっているんだろう?ってふしぎに思った。
でも、その言葉を残して、おうちの「にんげん」はもどってこなかった。
ぼくたちはいつまでもいつまでも待っていたのに…。


4人きょうだいのぼくたちネコ。
おかあさんといっしょに、おうちの「にんげん」と暮らしていた。
最初は、みんな
“かわいい!かわいい!”
て言ってくれて、だっこされたり、なでなでされたり、とてもしあわせだった…。
おかあさんがいっていた。
「ここは、ほんとうにすてきな『かぞく』だよ!」
って。
そうか、「かぞく」って、こんなにあったかくて、しあわせなんだね、おかあさん!

でも、あるとき、おうちの大きな「にんげん」が
“うちではこんなに飼えないぞ?「さとおや」を探したほうがいいんじゃないか?”
なんて、よくわからないことを言い出した。
おうちの「にんげん」は、その「さとおや」というのをいろいろ探していたみたいだったけど、見つからなかったみたい。
「さとおや」って何だろう?
その「さとおや」というのが見つからないと、ぼくたち、どうなっちゃうんだろう?


そして、気がついたら、一番下の弟だけをおうちに残して、お兄ちゃんと妹とぼくの3人が箱に入れられて、「じんじゃ」に置き去りにされていた。
いつまでたっていも、おうちの「にんげん」は迎えにきてくれなかった。
ずっとずっと待っていたのに…。
ぼくたち、「かぞく」じゃなかったの?
あったかい、楽しい「かぞく」じゃなかったの…?


次の日の朝。
ぼくたちは、いつのまにかみんなでかたまって、あったまって眠ってしまったようだった。その時、大きな黒いネコのおじさんが、ぼくたちの入った箱をのぞいて、声をかけてくれた。
「おい、起きろ!こんなところでグズグズしてると、死んじまうぞ!」
みんなびっくりしてはね起きた。
「え?何?死んじゃうって、どういうこと?」
目が覚めたばかりで、何が何だかわからなかったぼくたち。
「ああ、どうやら事情ってやつをわかっていないみたいだな?おまえたち、捨てられたんだよ。『にんげん』にな。」
「捨てられた?」
頭の中がだんだんはっきりしてきたけれど、「捨てられた」の意味が、まだよくわからない。
「捨てられたって、どういうことなの?おうちの『にんげん』はどうしてこないの?」
「おまえたちのことが、じゃまになったんだよ。そんなにたくさんいたんじゃ、いっしょに暮らせないってな。」
「うそだ!だって、みんな、あんなにかわいがってくれてたんだよ!それに、ぼくたちは『かぞく』だったんだ!ぼくたちをすてるはずがないよ!」
「かわいがってくれた、だぁ?へっ、そんなの最初のうちだけだ。さあ、そこでのたれ死にしたくなかったら、おれについてきな。」
ぼくたちは迷った。
「捨てられた」、「じゃまになった」、その言葉が信じられなくて、でも、寒い夜に、さびしい「じんじゃ」に置き去りにされて、それから迎えにきてもらえないことも、ほんとうのこと。
「まあ、じっくり考えな。またあとでここにきてやる。よく考えて、おれについてきたいヤツはついてくるんだな。」

ぼくたち3人は話し合った。
お兄ちゃんは
「ぼくは、あの黒いネコのおじさんについていく。みんなも行こうよ!」
と、いっている。
妹は
「あの黒いネコのおじさん、なんだかこわい…。ついていきたくないわ。」
って、いっている。
ぼくはどうしたらいいか、決められない。
ほんとうに捨てられちゃったのか、今だって信じられない。
きっと、必ず「かぞく」のだれかがきてくれる、そう思っていた。

その日の夕方、また黒いネコのおじさんがやってきた。
お兄ちゃんはついていった。
「みんなも行こうよ!ここにいたんじゃ死んじゃうよ!」
お兄ちゃんは何度も何度もぼくたちを説得していた。
でも、ぼくと妹は残った。
お兄ちゃんは、ぼくたちの入った箱から出ていった。
そして、
「元気でいろよ!また会いにくるからな!」
そういって、黒いネコのおじさんについていってしまった。
それからお兄ちゃんと会うことは二度となかった。
きょうだいがまた1人、はなればなれになった。


次の日の朝、妹と2人でかたまって寝ていたぼくたちは、おなかがすいて目が覚めた。
「お兄ちゃん、わたし、おなかがすいた。」
「ぼくもだよ…。」
でも、箱から出るのもこわかった。
食べ物のにおいも何も感じない。

そのうち、雨がしとしと降ってきた。
おなかがすいて、寒くなって、とってもとってもつらかった。
すると、妹がとうとうがまんしきれなくなって、
「お兄ちゃん、わたし、何か食べるものを探してくる!」
そういって、箱から飛び出していった。
「あぶないよ!ダメだよ、遠くにはなれちゃ!」
ぼくは叫んだ。
「だいじょうぶよ、そんなに遠くに行かないから!」
妹は、そのまま「じんじゃ」の外まで飛び出していった。
ぼくは、妹の後ろ姿を箱の中から顔を出して見ていた。
雨が強くなってきた。
妹の姿が雨の中に消えて見えなくなった。
そして、しばらくすると、
“キキーッ!”
という音がして、それから何かぶつかったような、つぶれたような音がした。
あとでわかったことだけど、あの音は「じどうしゃ」という大きいものが、急にとまった時の音だったんだ。
でも、そのあとの、ぶつかったような、つぶれたような音は何だったんだろう…?
「じんじゃ」の外で、「にんげん」がなんだかさわがしい。
何があったのかな?
まさか、妹に何かあったのかな?
いや、そんなに遠くに行かないっていってたから、そのうち元気に帰ってくるさ。
ぜったい、帰ってくるんだ!
そう思って、ぼくはずっと妹の帰りを待ち続けたんだ。
だけど…、
それきり、妹は帰ってこなかった。
ぼくは、とうとうひとりぼっちになった。


その日の夕方。
雨は少し弱くなっていたけど、寒いのには変わらなかった。
おなかもすいて、もうへとへとだった。
お兄ちゃんは帰ってこない。
黒いネコのおじさんと、どこまで行っちゃったんだろう?
会いたいなぁ…。
妹も、いつまでたっても帰ってこない。
心配だなぁ…。
2人とも勇気があるよなぁ。
ぼくは、箱から出られない、ただのいくじなしなのかなぁ?
情けないなぁ。

…ぼく、おなかがすいたよ。
とってもとってもおなかがすいた。
動く力もあんまり出ない。
体がどんどん冷えてきて、箱のすみっこで1人で丸くなっていた。
このまま、死んじゃうのかなぁ?
さびしいなぁ。
さびしいよぅ……!

“おい、おい!だいじょうぶか?生きてるか?”
その声に目が覚めた。
「にんげん」のお兄さんだった。
“お、目を開けた!生きてたんだな!よかったぁ!こんなに寒い中に置き去りにされて、かわいそうだったなぁ!”
優しい声の、優しい目をした「にんげん」だった。
“神社の外の道の、あの子ネコのきょうだいかなぁ。ほんとうに…、かわいそうに…。”
外の道の子ネコ?
妹のことかな?
かわいそうって、どういうことだろう…?
その子ネコは、どうなったの?
ねぇ、教えて!教えてよ!
ぼくは、その「にんげん」のお兄さんに、手を差し出すようにして、聞いたんだ。

それを見て、その「にんげん」が
“よしよし、今、だっこしてあげるから!”
っていって、ぼくを抱き上げた。
そして、胸の中であっためるようにして抱きしめてくれた。

とてもあったかかった!

そして、すごくうれしかった!

こんなにあったかいのって、ほんとうにひさしぶりだよ!

だから、ぼくは、うれしくってうれしくって、おなかがすいているのも忘れて、思いっきり泣いたんだ。
すると、
“お?元気な声だなぁ!よし、おまえは「ゲンキ」!これから「ゲンキ」って名前だ!今日から、おれんちの大切な「かぞく」の1人だぜ!なっ、ゲンキ!”
そういってくれた!

「かぞく」?
あの、あったかい「かぞく」なの?
ぼくは、このお兄さんの「かぞく」になれるの?

ぼくは、うれしくってたまらなかった。
そして、いつまでもいつまでも、「にんげん」のお兄さんの胸の中で泣いていたんだ。


その時から、ぼくには「ゲンキ」って名前がついた。
そして、その「にんげん」の大切な「かぞく」になった。
あったかくて、楽しくって、大好きな「かぞく」ができた。


お兄ちゃん、いつでもここにおいでよ!
妹も、早くぼくのおうちにおいでよ!

ここは、ほんとうにすてきな「かぞく」だよ!

ぼく、ぼく、みんなといっしょに暮らせる日を、いつまでもいつまでも待ってるから…!








それでは、明日が皆さんにとって心あたたまる1日でありますように。


おやすみなさい。











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この記事へのコメント

  • まゆ

    こんばんは(゚▽゚)/

    挨拶って職場では結構きちんとするんですけど、お家だと『おはよう~』『おかえりなさい』ってついぼそぼそ口調。職場では『おはようございます!』『お疲れ様でした!』ってはきはき口調。まゆもまだまだです。


    今日一日『生きる』ということを考えていました。お兄ちゃん猫、妹猫、みんな生きるために自分で決断しましたよね。僕もひとつの決断だったのかな。
    2009年11月17日 20:31
  • まゆ様>
    コメント、ありがとうございます。
    家庭でのあいさつつてのも、案外見過ごされがちですね。僕も反省しなくっちゃ!

    この話、いつものように経過も結論も考えないまま書きました。結果、妹猫には悲しい余韻が残ってしまいましたが…。
    「ぼく」は、待つという決断をしたのだと思います。(自分で書いておきながら、「思います」もないのですが…)
    「かぞく」を信じて待つ。
    それが生きるための決断だったのでしょうね。
    2009年11月17日 20:42
  • ばっかバッハ

    すごく面白かったです。
    切なさと暖かさが混在する、涅先生ならではの文章が、ますます進化を遂げていますね…続きはないんですか?

    「あいさつ」を推進している姿勢には、ホントに頭が下がるというか、すごいですね…私はあいさつが小さいころから苦手でして(--;)
    今でも苦手です。でも、苦手だからこそ、ちゃんとするように心がけてはいます。が、苦手なのでうまくできないこともあります。いい歳してね(^^;)
    だっはっはっ、まぁ、気にしない、気にしない(笑)

    だって、ウチの近所は田舎なせいか、あいさつの苦手な大人が多いんですもん。それで成り立ってるんだから、まぁ、ずいぶんとゆるい地域ですよね…(--;)
    2009年11月17日 22:11
  • ばっかバッハ様>
    コメント、ありがとうございます。
    さすがに今回は本当に創作で、我が家のワンコたちからヒントをえたものではないので。しとしと降っていた今日の雨を見て、もし、こんな日に捨て猫がいたら、どうなんだろう?と思って書いたまでです。この先、ゲンキは、きっと幸せに暮らしていると思いますよ。そして、いつかどこかでお兄ちゃんと会えるんじゃないかなぁ?妹は…、誰かが拾って治療してくれていることを願います。

    あいさつ、僕も本当は苦手ですよ。でも、職業柄、演じることから始めました。教壇は僕らの舞台、てのが僕の信条です。舞台の上では、いろいろ演じますからね。
    田舎だと、目と目を合わせれば、それがあいさつなのかもしれませんね。それもまた、うらやましい環境だと思いますよ。
    2009年11月17日 22:20
  • なっち

    こんばんは。
    挨拶は大事ですよね。その人の第一印象にもなります。元気に挨拶するより、挨拶できないほうが恥ずかしいですね。
    2009年11月17日 22:59
  • なっち様>
    コメント、ありがとうございます。
    そのとおりですね。あいさつは、その日の第一印象です。元気がないあいさつは、やっぱり心配します。そして、あとで聞いてみると、やっぱり悩みとかいらいらを抱えていることが多いんです。その日の1日の始まりの気分を知る上でも、僕はしっかりあいさつをしていきたいと思います。
    2009年11月17日 23:13
  • 人魚姫

    こんばんは。
    ここへ来てコメントを途中書きのままにしているうちに,先に我が家へお越し下さったのですね。
    どうもありがとうございます。
    胸に残ったお話でした。
    苦しくなりました,心が。
    あたたかい家族がたくさん増えると良いなと思っています。
    お仕事,順調のご様子,嬉しく存じます。
    お体,くれぐれもご自愛下さいね。
    2009年11月18日 00:02
  • 人魚姫様>
    コメント、ありがとうございます。
    心が苦しむようなおはなしを書いてしまい、申し訳ありません。
    でも、ほんとうにこんな苦しくなるようなことも起きているのですよね。何とかならないものか、と、常々思っています。
    僕の体へのお気遣い、ありがとうございます。ゆったり焦らずにやっています。おかげで、いろいろなことに目を向ける余裕が出てきています。
    2009年11月18日 03:41
  • 羅輝


    人間の心なさで多くの動植物に迷惑を掛けているかと思うと胸が締め付けられます。

    この立場が反対なら人間は大騒ぎするのに、、、。
    2009年11月18日 13:35
  • 羅輝様>
    コメント、ありがとうございます。
    人間の身勝手で苦しんでいる動植物。
    でも、それで心を痛めている人間もいます。つまりは人が人を傷つけているということ。
    悲しいことですよね。
    2009年11月18日 18:27
  • matsuさん

    朝、近所の学校の前を通ったら、校門に先生が立ってました。
    涅さんもこんな風かな?って思いました。

    このお話のようなことって、きっと日常茶飯事にあるのでしょうね…
    こうして文章で読むと心にしみますね。
    2009年11月19日 01:00
  • koji

    おはようございます。
    またまたお話しをありがとうございます。

    涅さんの「つぶやきシリーズ」は「めでたし、めでたし」だけではなくて、厳しい現実にも目をそむけずに、向き合っているところがスゴイです。

    ネタが尽きないところがまたスゴイ!!

    また遊びに来ますね。
    2009年11月19日 08:24
  • matsuさん様>
    コメント、ありがとうございます。
    朝のあいさつ、気持ちがいいですよ。笑顔がいっぱいですからね。

    このような猫や犬たちがいることは事実です。それを少しでも減らしたい、それが僕の願いです。
    2009年11月19日 20:36
  • koji様>
    コメント、ありがとうございます。
    「めでたし」で終わりたいけれど、様々な現実があると、それを書かなければいけないような気がします。
    妹、生かす手を考えましたが、どうしようかな?
    ネタはないです!ただの思いつきですから。
    2009年11月19日 20:38

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