公園の大きな木 ~つぶやきシリーズ~

皆さん、こんばんは。

今日の静岡はいい天気。
本当に素晴らしいお散歩日和。
近くの小さな公園では、子供たちに賑やかに遊んでいました。
ども。その公園の大きな木です。

画像


公園の大きな木

今日はとってもいい天気。
そんな日は、3ワン姉弟、元気にお散歩、お散歩。
お父さんに連れられて、それぞれ別々にお散歩、お散歩。

最初のヒナちゃんのお散歩の時、今日は公園でひとやすみ。
風さんがそよそよ吹いて気持ちいい。
「ああ、風さん。今日もありがとう。」
ヒナちゃんがそう言おうとすると、ざわざわ、ざわざわ、風さん以外の声がする。
何だろう?
さあ、ヒナちゃんがその声の主を見つけましたよ…。


「こんにちは。わしの声が聞こえたのかい?」
誰だろう?
わたしを呼んでいるのは?
わたしはその声のするほうに顔を向けてみた。
大きな大きな木。
太い太い幹で、高くて高くて、見上げると首が痛くなってしまいそう。
「そう。わしだよ。」
「木のおじさん?木のおじさんが話しかけてくれたの?」
「ああ、そうだよ。のんびりとあんまり気持ちよさそうにしていたから、もしかしたら、わしの声が聞こえるかな、と思ってね。」
風さんが吹いた時、木のおじさんはたくさんの葉っぱを揺らして、わたしに話しかけてくれたの。
「まあ、ありがとう!わたし、いろいろなお話しをたくさん聞きたいの。何かお話しを聞かせて。」
「聞きたいことがあったら、何でも聞いてごらん。何でも答えてあげよう。」
「そうだなぁ…。じゃあ、おじさんはいつからここに立っているの?」

それから、木のおじさんのお話が始まったの。
最初はここは林だったんだって。
たくさんたくさん木のおじさんの仲間達がいて、動物もいっぱいいたんだって。
「『にんげん』の子どもたちもよくこの林に入ってきたよ。」
「『にんげん』が?何をしに?」
「わしらの子ども拾いだよ。『にんげん』は『どんぐり』とかいってたかな?」
「それを拾ってどうするの?」
「さあなぁ、何をするかは知らないけれど、でも、楽しそうな顔をして拾っておったよ。あと、『かくれんぼ』とか『おにごっこ』とか、そうそう、嵐の時にわしらの折れたところをたくさん集めて、『ひみつきち』なんとかいうものを作っていた『おとこのこ』もいたなぁ。」

木のおじさんは、「にんげん」の子どもたちが大好きみたい。
とてもにこにこしながらお話ししてくれる。

「あの時から一番の年寄りで、一番大きかったのがわしだったなぁ。だから、『にんげん』もいろいろな生き物も、いつもわしの足もとに集まったり、わしの枝に集まったりして、話したり遊んだりしておったわ。」
「他の木はどうしちゃったの?」
すると、おじさん、少しさびしそうな顔をした。
「ここに、この『こうえん』というものができるって時、『にんげん』になぁ、切られたり、根こそぎ持っていかれたり、いろいろだよ。わしは『大きくてりっぱだから』なんて言われてな、わしと、ほら、あそこの、少し離れたところに見えるだろ?あの大きな木だけが残されたんだよ。ここにある他の木は、わしにしてみれば新参者ばかりだが、まあ、仲良くやっておるよ。」
「少しさびしいお話しね。」
「まあね、それでもここには『にんげん』の子どもたちがやってくるし、あの桜の木を見てごらん、あいつは新参者だったけれど、今ではりっぱになってなぁ、春にはきれいに花を咲かせてくれる。昔の仲間がいなくなっちまったのはさびしいが、今は今で楽しいもんだよ。」

お父さんが歩き出した。
「またね、おじさん。これから時々お話しを聞かせてね。」
「ああ、いいよ。いつでもおいで。」
木のおじさんは風さんに吹かれながら、わたしに手を振ってくれた。


おやおや、今度はミカド君。
ミカド君も公園でひとやすみ。
ヒナちゃんからお話しを聞いてきたのかな、木のおじさんに自分から話しかけていますよ。
「おじさん、こんにちは!」
「おやおや、元気な子が来たねぇ。こんにちは。」
「ヒナお姉ちゃんから聞いたんだ。優しい木のおじさんがたくさんお話ししてくれるって。」
僕はヒナお姉ちゃんから聞いた時から、すごく楽しみにしていたんだ。
「おじさん、おじさん。そこから何が見えるの?そんなに高いと遠くまで見えるでしょ?」
「そうだねぇ、昔からわしが一番高かったから、遠くまで見渡せるねえ。」

それから、昔のことから話し始めてくれたんだ。
林の中でも一番高かった木のおじさんは、いろいろなことを見てきた。
昔は周りに田んぼがいっばいあったり、きれいなお水の川も流れていたり、一番てっぺんでは海まで見えたって言っていた。
「今は『たてもの』というのがいっぱい建っちまって、遠くまで見渡せないし、川も『こんくりーと』とかいうものに囲まれちまって、時々『ごみ』というのがうかんでいてね、何だか見ていて本当に息苦しいところになってしまったよ。」
「へえ、ちょっとさびしいね。」
「それでもこの近くの『がっこう』というところに行ったり来たりする『にんげん』の子どもたちの様子ぐらいまでは、見ておるんだよ。」
「おじさんは子どもたちが大好きなんだね。」
木のおじさんが、にっこり笑ったようだった。

それと、昔はたくさんの鳥さんがおじさんに止まったりしていたんだって。
「いろいろな鳥が止まっては、遠くの国のことを教えてくれたよ。寒い寒い国の話。暑い暑い国の話。でも、最近はそういう話をしてくれる鳥がめっきり減ってねぇ。」
「そうなんだ…。」
昔のお話しをする時のおじさんの声は生き生きしているけれど、最近のお話しは、何だかさびしそうな声になる。
ちょっとかわいそうだなぁ。

「だったら、今より昔の景色のほうがよかったんだね。」
すると、おじさんは、しばらく黙ったあとに、こう話し始めたんだ。
「……実はねぇ、昔のものでも、見たくもないものを見てしまう時があるんだよ。」
「それは何?」
「『せんそう』というものだよ。『くうしゅう』というのが、この街であってね。わしがいるところは昔は『にんげん』の住んでいる数も少なかったから、『ばくだん』とか『しょういだん』とやらは落とされなかったが、その『にんげん』がたくさん住んでいたところに、たくさんの『ばくだん』なんかが落とされたんだ。」
「『ばくだん』ってなぁに?」
「ドカンとね、火が大きく広がって、辺りが吹き飛んだり燃えたりしちまうのさ。あぁ、あの時はびといものだった。街の方は真っ赤な色になって燃えておった。真っ黒な『けむり』というものが、空を覆い尽くしておったよ。聞きたくもない悲しい叫び声も聞こえてきてなぁ…。」
「『にんげん』の?」
「『にんげん』ばかりじゃあないよ。お前さんたちみたいな犬も、猫も、鳥も、木も、草も、花も、虫たちも、みんなみんな悲しい叫びをあげておった…。あんなものは二度とは見たくもなければ聞きたくもないねぇ……。」
「なんでそんなことになったの?」
「さぁなぁ、わしには分からんよ。『にんげん』のすることは、時々本当に分からんのだよ。」
僕は、木のおじさんの悲しそうな声を聞いていると、泣きたくなった。
「……おじさん、また『にんげん』はそんなことをするのかなぁ…?」
「分からんなぁ。でも、この『こうえん』に来る『にんげん』たちを見ていると、とてもそんなバカなことをするようには思えんのだがなぁ…。」

お父さんが歩き出した。
「またね、おじさん。これから時々お話しを聞かせてよ。」
「ああ、いいよ。いつでもおいで。」
木のおじさんは風さんに吹かれながら、ぼくに手を振ってくれた。


おやおや、最後はムサシ君。
ムサシ君も公園でひとやすみ。
みんなからお話しを聞いてきたのかな、木のおじさんに少しおどおどしながら話しかけていますよ。
「おじさん、木のおじさん。こんにちは。」
「やぁ、こんにちは。何か用かな?」
「そのぅ…おじさん、みんなからいろいろ聞いたんだ。ヒナお姉ちゃんと、弟のミカドから。とても親切な木のおじさんがいるんだって。ぼくも何か聞きたいなぁ……。」
「そんなことより、どうしてそんなにびくびくしているんだね?もっと堂々としていりゃいいじゃないか?」
ぼくはおじさんに話したんだ。
ぼくは臆病者。
ぼくの姉弟はみんな臆病者だけど、ぼくは特に。
おうちの「にんげん」以外とお話しできないし、つい吠えたり逃げたりしちゃうって。
「おや、そうかい。だったら、このおじさんに任せなさい。」
「え?」
すると、木のおじさんが風さんを呼び止めた。
「お~い、風さんや。ちょっとあそこの『にんげん』の子どもたちの方に、そよいでくれないかね?」
「はいはい、おやすいご用ですよ。」
そう言われて風さんは、「にんげん」の子どもたちがいるところに少し強く吹きつけた。
すると「にんげん」の子どもたちが風さんが吹いた方を向いたので、その中の1人の「しょうがくせい」の女の子がぼくに気がついちゃったんだ。
こっちに来る!
怖い!
ぼくは、お父さんに隠れるようにびくびく震えていたんだ。
あ、女の子がお父さんに話しかけてきた!
“かわいい~!かわいい犬ですね。優しい目をしてる。何ていう種類ですか?名前は何ですか?”
すると、お父さんが答えちゃった。
“ミックス犬だよ。名前はムサシ君。名前に似合わず、ちょっと臆病者だけどね。”
もう!お父さんたら余計なことを!
“さわっても大丈夫ですか?”
“ああ、平気だよ。最初は上からではなく、あごの下から手を出せば大丈夫だよ。”
ああ、さわられる~!

……あたたかい?

……やわらかい?

……とても優しい?

え?おうちの「にんげん」以外も、優しいの?

「ほらね。大丈夫だろ?わしの下では、みんな優しくなれるんだよ。雨が突然降った日には、わしの下に大勢の子どもたちが集まって、みんなで寄り添っているんだよ。わしの下では、お互い好きな男の子と女の子が、いろいろ話もするんだよ。わしの下では、夏には涼しいからと言って、『こうえん』で遊ぶ子どもたちやお母さんたちが集まって話をする。わしの下では、冷たい冬将軍に吹きつけられるのをさえぎるために、子どもたちが集まってくる。わしの枝にも鳥たちや虫たちが、たくさん集まって話をしたり仲良くしたり…。わしの周りに集まる人は、みんなみんな優しいやつばかりなんだよ。」
木のおじさんのお話を聞きながら、ぼくは「しょうがくせい」の女の子の、優しい柔らかい手のぬくもりをしっかり感じていたんだ。
「ありがとう!木のおじさん!風さん!」


お父さんが歩き出した。
「またね、おじさん。これから時々お話しを聞かせてね。」
「ああ、いいよ。いつでもおいで。今度はみんなでくるといいよ。」
木のおじさんは風さんに吹かれながら、ぼくに手を振ってくれた。


木のおじさんは、今日も子どもたちの笑顔を見守りながら、高く大きくどっしりと立っています。

今日は誰とお話しをしているのでしょうかね…?








それでは、明日が皆さんにとって心のぬくもりあふれる1日でありますように。


おやすみなさい。













ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 17

ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい

この記事へのコメント

  • トヨママです

    うふふっ・・・❤

    <つぶやきシリーズ~>   いいかも?です。
    また・・・心温まりましたよ!!

    やはり・・・シリーズ・・・本にしてみましょうよ~~~♪
    2009年10月28日 21:55
  • トヨママ様>
    コメント、ありがとうございます。
    少しでも心に響いてくれたのなら、とても嬉しいです。ありがとうございます。

    本の件、前向きに検討しています。ただし、何年先になるかは分かりませんが…。
    2009年10月28日 22:00
  • ばっかバッハ

    毎度、おじゃましますm(_ _)m
    なんとなく、涅様のブログにおじゃまするのが日課となってしまいました。

    …いや~、今回もいいですね。
    絵本じゃなくても、この写真でOKじゃないですか?
    そして、いきなり出版は難しいでしょうから、手始めに近所の小学校等に無料で寄贈して読んでもらう、というのはどうでしょう。中学校だと、みんなスレてきてるから読まないかなぁ…いや最近は小学校でもスレてきてるか?
    保育園、幼稚園はどうだろう?
    などと、勝手に考えてしまうのでした(^_^;)

    まぁ、適当に聞き流しておいてください。
    2009年10月28日 22:37
  • ばっかバッハ様>
    コメント、ありがとうございます。
    いつでもどうぞ、いらっしゃってください!
    今、画像を整理したり、あるいはちょっと絵を描いてみたりしようと思っています。
    今までに書いたものをプリントアウトして、現在あれやこれや思案中です。
    さてさて、どうなるのでしょうねぇ?
    2009年10月28日 22:42
  • まゆ

    本当に絵本になったら素敵ですね。幼稚園や保育園ならもう少し簡単にすると良いですよ。経験上。小学校の低学年がベストじゃないですか?

    私個人的に涅様の使う『ひらがな』が好きなんです。なんだか優しいイメージになりますよね。

    素敵な内容でした。戦争だけは避けたです。
    2009年10月28日 23:09
  • まゆ様>
    コメント、ありがとうございます。
    「ひらがな」には、なんとなくあたたかいイメージを感じています。ですから、今後、いろいろな修正をする時に、カタカナ表記や漢字表記を「ひらがな」に変えるかもしれません。

    戦争を見てきた木、本当にどんな思いだったでしょうかね?書いているうちにそれを思って、書きました。
    2009年10月29日 01:00
  • koji

    面白い!
    「つぶやきシリーズ」は、根底のテーマが一貫していて、いいですねぇ。
    ホントに絵本が出来るような気がしてきましたよ。

    レベルもどんどん上がっているようで、ご本人が楽しみながら、書いているのを感じられ、読んでいるこちらも、気持ちよく、スラスラと読み進むことができます。

    あったかいお話を、ありがとうございました。
    2009年10月29日 07:44
  • marippechan

    『ムサシ君のつぶやき』の時に絵本みたい!!☆
    とふと思ってからそれが本当に形になったら
    いいのにな~って思ってますよ(^^)
    心がこもっていたら素人感いっぱいでかえって、
    温かい作品になると思います(^-^) 
    やっぱり心です☆
    私はいつも野球の試合で公園や学校によく行き、この夏もいっぱい木陰にはお世話になりました(^^)
    (木陰の気持ちいいこと。。。♡(^^))
    木さんもきっと応援してくれているんだな~☆
    とこのつぶやきを読んでやっと木の存在の大きさに気付いた私です。。(^-^)
    2009年10月29日 08:00
  • koji様>
    コメント、ありがとうございます。
    そうですね、楽しみながら、その場その場の思いつきで話が進みます。ですから、書き始めでは自分でも結末は見えていないんですけどね。
    読んでくださる方の心があたたかくなれば、それだけで幸いです。
    2009年10月29日 09:37
  • marippechan様>
    コメント、ありがとうございます。
    夏の木陰、冬の日の木の根元辺りでの日向ぼっこ、そんな時の木って、頼りがいがあるなぁ、と、昨日、お散歩途中の公園で立ち寄った時に思って書きました。
    ムサシ君のお散歩の時に小学6年生くらいの女の子が「かわいい!」と言って撫でてくれたのも、それもその大きな木の根元でした。
    今回のお話は、そんなひょんなこから書き始めました。
    本にすることには、今、前向きに検討しています。ただ、文章の練り直しが必要ですけどね。
    2009年10月29日 09:42
  • mayu_suz

    こんにちは。
    いつも、いつも優しい文章で心が和みます。
    絵本になったらいいですね。ステキですね。
    動物や植物の心や言葉がわかる純粋なものをいつまでももち続けていけたらいいなぁ。と思います。
    2009年10月29日 12:56
  • mayu_suz様>
    コメント、ありがとうございます。
    またご愛読、本当にありがとうございます。
    優しい文章と言われると、かなり照れます。できるだけ、子どもが読んで分かる表現を選んでいます。それが自分の仕事にも役立つと思っていますので。平易で分かりやすい表現、案外難しいものですね。
    2009年10月29日 14:45

この記事へのトラックバック