涼歌(すずか)のつぶやき

みなさん、こんばんは。

今日は僕の通院の日。
でも、特に別に書くことは何もなく…。
はっきり言えば、ネタがない。
これで最後かと思った「つぶやき」シリーズ・スピンオフ企画。
今日まで、今日まで我慢して付き合ってください!
ごめんなさい!
ども。そろそろあちらこちらで稲刈りが始まっていますね、我が家の前の田んぼです。

画像


あ、あのワンちゃんたち、またベランダでひなたぼっこしてる。
こんにちは!
気がついたかな?
もう一度、
こんにちは!
アハハ、気がついた!
みんな、今日も元気?
わたしも元気に飛んでいるわよ~!


あら、ごめんなさい。
自己紹介しなくっちゃ。
わたしはスズメ。
空を自由に飛び回るスズメ。
あなたのおうちの周りにもいるでしょ?
ただね、他のスズメとは、わたし、ちょっと違うのよ。
だって、素敵な名前を持っているんだもん。
「すずか」っていうの。
漢字だってあるんだから。
「涼しい」に「歌」と書いて「涼歌(すずか)」っていうの。
え?どうしてかって?
それはねぇ…。

もう何年前になるかしら。
まだわたしはお母さんの作った巣の中にいたの。
他の兄弟たちと一緒に、みんなで暮らしていたの。
でも、いつも兄弟げんかばかり。
特に、お母さんがご飯を持ってきてくれた時は、みんなでご飯の取り合いの大げんか!
わたしはその中でも一番からだが小さくて弱かったから、なかなかご飯が食べられなくて…。

「おまえさぁ、体が小さいくせして、ご飯の時に割り込もうなんて無理するなよ」
ある時、お兄さんスズメがわたしにそう言ったの。
「おまえなんか、ご飯を食べる資格なんてないんだよ!」
「そんな!わたしだってご飯がほしいよ!いつもお腹ペコペコだもん!」
言い返したわたし。
でも、そのうち他の兄弟も一緒になって、ひどいことを言い始めた。
「だめだめ!おいらたちだってお腹がすいてるんだ!おまえなんかに一口だってやるものか!」
「そういうこと。どうせ小さいんだし、飛べるようになるのも一番おそくなるだろ?おいらたちが飛べるようになってこの巣から出てってから、お母さんにもらってればいいんだよ!」
「それまで待ってたら、わたし、お腹をすかして死んじゃうもん!いや!」
すると、それまで黙っていたお姉さんスズメが
「あんたたち、この子をいじめるのはもうやめなさいよ!」
「な、何だよ、いい子ぶっちゃって!」
「あんたたちがいけないんでしょ!それにいつもがっついてばかり!見苦しいったらないわよ!」
「な、なんだと~!」
大げんかが始まっちゃった!
お姉さんがわたしのことをかばってくれて嬉しかったけれど、わたしのせいでけんかになるなんて苦しかった。
「やめて、やめて!ごめんなさい。わたしのことでケンカなんてしないで!」
「うるさい!どいてろ!」
突き飛ばされたわたし。
ヨロヨロッとした時、思わず巣から足を踏み外してしまったの!
「あ、あぶない!」
お姉さんがそう叫んだのを覚えている。
でも、そこから覚えていないの。
わたしは、落ちる途中で気を失ったみたい…。

「大丈夫かい?」
気を失っていたわたしに話しかける声で目が覚めた。
「危なかったねぇ、ちょうど私が通りかかったからよかったけど。」
「だれ?」
「私かい?私は風だよ。あんたが落ちていくのを見て、慌てて下に潜り込んでふわりと受け止めてあげたのさ。」
「ほ、本当!ありがとう!」
すると上からも声が聞こえた。
「だ、大丈夫?けがはない?」
「ごめん、ごめんよ~!落とすつもりなんてなかったんだ、ごめん!」
お兄さんたちやお姉さんが心配そうに見ていた。
悪気なんてなかった、ちょっとからかわれていただけなんだ。
そうと知って安心したけど…、

でも、どうしよう?
私はまだ小さくて飛ぶことができないから、自分では巣に戻れない。
そのうちお母さんが帰ってきた。
お母さんは何が何だかわからないみたいで、ずっと泣き叫んでいた。
「どうしましょう?ああ、どうしたらいいの?私じゃあの子を持ち上げられないわ!」
わたしは風さんにも聞いてみた。
「ねえ、風さん。風さんの力でわたしを巣に戻してくれない?」
「困ったねぇ、さすがにそんなに強く吹いたら、今度は巣まで吹き飛ばしてしまうだろ?いくらなんでもできない相談よ。」
「ええ?だったら、どうしたらいいの?」
風さんも困った様子。
わたしも自分のことなのに自分ではどうしようもできなくて、悔しくって、悲しくってたまらなかった。

すると、風さんが
「おや?もしかしたら…。助かるかもしれないよ。」
と言って、指さした方を見てみると、「にんげん」がこっち向かって歩いてきたの。
「ええ?あれって『にんげん』じゃないの?怖いよ~、怖い!」
「大丈夫だよ、きっと。だってあの子たちのいるおうちの『にんげん』だからね。」
あの子たち?
何のことか分からなくて、でも、風さんはそう言って行ってしまったの。
怖い…。
「にんげん」なんて、あんなに大きな生き物。
捕まったら、きっと食べられちゃう!
ビクビクしていた私に、その「にんげん」は気がついた。
“あ、どうしたの?何でこんな所にいるの?”
そうやって、わたしをすくうようにして抱き上げた。
バタバタ暴れるわたし。
だって、怖かったんだもん。
でも…、その「にんげん」の手は、そっと私を包み込んでくれた。
とても温かい手だったの…。

わたしは「にんげん」のおうちの中に連れていかれちゃった。
“お母さん、どうしよう?この子、まだ飛べなくてこのままじゃ死んじゃうよ!”
“どうしたの?まぁ、スズメ!いったいどこから拾ってきたの?”
“家の前で飛べなくてバタバタしていたんだけど、ほら、まだ小さいスズメでしょ?きっと巣から落ちちゃったんだよ。”
後から知ったことだけど、わたしを助けてくれたのは、そのおうちの「ちゅうがくせい」の女の子。
そのおうちには「お母さん」と「お父さん」、そして「弟」もいたの。
「お母さん」と「ちゅうがくせい」の「お姉さん」が話をしていると、「弟」が帰ってきて、しばらくすると「お父さん」も帰ってきた。
みんな、わたしのことでいろいろお話しをしていたみたい。
“スズメはね、『ほうりつ』で、家の中で飼ってはいけないんだよ。”
「お父さん」がそう言っていた。
「にんげん」の世界には「ほうりつ」という決まりがあって、わたしたちといっしょにおうちの中で暮らせないってなっているらしいの。
おなじ生き物なのに、いっしょに暮らせないなんて、何だか不思議な感じ。
でも、その時は、とにかくビクビクしていたし、どうなるんだろう?どうされるんだろう?って心配ばかりしていた。
すると、
「大丈夫よ!お父さんやお母さんが何とかしてくれるから!」
「そうだよ。みんな優しいよ!」
「楽しいおうちだよ!」
ワンちゃんの声?それも3人?
「あなたたち、ここのおうちにいるの?」
「ええ、こうやって元気に暮らしているわよ。」
ああ、風さんの言っていた「あの子たち」って、このワンちゃんのことだったんだ。
ワンちゃんたちは、このおうちにきた時のことをいろいろ教えてくれた。
そして、おうちの人の優しいところも教えてくれた。
「だから、このおうちにいれば大丈夫なの。」
それを聞いたらホッとして、知らないうちに眠ってしまったの…。

目が覚めると、わたしには「とりかご」っていうお部屋が用意されていたの。
そのお部屋の中にわたしは入れられたの。
その時に、名前をもらったの。
「涼しい」と「歌」と書いて「涼歌(すずか)」。
「にんげん」の「お姉さん」が付けてくれた名前。
ちょっと照れくさかったけど、でも、初めて「名前」というものをもらって、すごく嬉しかった。
そのおうちの「にんげん」はみんな、“涼歌、かわいい涼歌”って言って可愛がってくれた。
ご飯もくれた。
まだ自分では食べられないからって、お口を開けさせられて、今まで食べたことのないようなものを食べさせられたの。
最初は戸惑うことばかりでイヤだったけど、だんだん慣れてきて、おうちにもお部屋にもご飯にもなじんできた。
ワンちゃんたちとも仲良しになったの。
「早くよくなるといいわね。」
「そうだよ、そしたらみんなで遊ぼうよ!」
みんな優しかった。
「涼歌ちゃんなら、きっとすぐに飛べるようになるわ。」
「そうか、涼歌ちゃんは飛べるんだ!すごいなぁ!」
「飛べたら遊ぼうよ、涼歌ちゃんが飛んだら、そしたら僕もジャンプしてパクッと…。」
「…ミカド!」
………みんな、優しかった。

わたしのことは、「お母さん」と、そして「お姉さん」が一番面倒を見てくれたの。
わたしを優しく包んではご飯を食べさせてくれたし、いろいろ話しかけてくれた。
時々、お部屋から出してくれて、飛ぶ練習をさせてくれた。
わたし、一生懸命飛ぼうと頑張った。
何回も何回も、何日も何日も…。
くじけそうになると、
“大丈夫よ、明日は飛べるから”
「お姉さん」の優しい言葉が嬉しかった。

そして、飛べる日がやってきた。
最初は少しだけだったけど、日が経つうちにおうちの中を自由に飛び回ることができるようになったの。
“よかったね、涼歌!”
「お姉さん」が一番喜んでくれた。
今にも泣き出しそうな目をして喜んでくれた。
すると、おうちの「お父さん」が言ったの。
“本当によかった!……だけど、お別れの日も近くなったね。”
「お母さん」も言ったわ。
「お別れしたら、きっと寂しくなるわね。」
え?お別れ…?

「ほうりつ」という「にんげん」の世界のきまりで、いっしょに暮らせない私たち。
「お父さん」と「お母さん」はそのことを言ってたの。
わたしが飛べるようになったら、それがお別れの日だっていうことを。

お日様がニコニコポカポカしていて、暖かいある日。
わたしはお部屋から出されて、しばらくおうちの中を飛んでいたわ。
すると、おうちの窓が開かれていた。
あっ!あそこから外に出られる!
でも…、おうちの優しい「にんげん」や、仲良しになったワンちゃんたちとお別れするのもつらい。
“もう狭いおうちから出てもいいのよ、涼歌。”
「お姉さん」がそう言った。
言ってくれるのは嬉しかったけれど、つらくてつらくて悲しかった。
その時、開いている窓から、風さんが入ってきたの。
「何をやっているの?さあ、外へいらっしゃいな。」
「でも、優しい家族やお友達になったワンちゃんが…。」
「あらあら、わがままな子ね。もう飛べるんだったら一人前なのよ。いつかお別れしなくちゃいけないんだし。」
「でも、でも…。」
「いつまでもいたら、『お姉さん』や他の『にんげん』にも迷惑がかかっちゃうの。もう知っているでしょ?」
「風さんはそんなことも知ってるの?」
「ええ、いつでもどこにでも私は吹いているからね。『にんげん』の世界のことは知っているのよ。」
「でも、寂しいよ…。」
「まったく…!ほら、窓の外を見てごらんなさい。」
言われるままに窓の外を見てみると…、
お母さん!そして、お兄さんやお姉さんも!
「あの時は何もしてあげられなくてごめんなさい。さあ、早くここに来て、これからいっしょに飛び回りましょう!」
「あの時は、本当にごめん!何度だってあやまるよ!だから、さぁ、出ておいでよ!」
「みんな待ってるのよ!早くおいでよ!」
わたしは思わず羽ばたいた。
嬉しくて嬉しくて、何の考えもなく。
ただ、お母さんやお兄さん、お姉さんが待っている空に向かって。

「あっ!」
気がついた時は、おうちから外に出てしまっていたの。
“さようなら、元気でいてね、またけがしたりしないでね!”
優しい「お姉さん」が、そしておうちの「にんげん」が、いつまでも手を振ってお別れの言葉をかけてくれていた。
ワンちゃんたちも、私が空を飛んでいる姿を嬉しそうに見ている。
「ありがとう!ありがとう!優しくしてくれて。忘れない、絶対に忘れないから!」
わたしは空を飛びながら、そして泣きながら、ずっと叫んでいたの。

風さんがふわりとわたしのからだを持ち上げて、お母さんたちのところまで連れていってくれた。
お母さんの胸に飛び込んだわたしは、まだ泣いていたの。
嬉しい気持ち、お別れの悲しい気持ち。
いろいろな気持ちが入りまじっていた。
そんなわたしの頭を、お母さんはいつまでもなでてくれた…。

「こんにちは!ヒナちゃん、ムサシ君、ミカド君!」
「あ、涼歌ちゃんだ!」
時々こうやっておうちのベランダの近くに遊びに来るの。
おうちの「にんげん」には言葉が通じないから分からないけれど、ワンちゃんたちは分かってくれる。
そして、わたしが空から見てきたことをお話ししてあげるの。
風さんといっしょに。

明日もいいお天気なら遊びに来ようかな?

あーした、天気になぁ~れっ!






スズメは「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」(大正七年法律第三二号)で卵の採取や雛の捕獲は禁止されています。
スズメの飼育は法律違反です。
だけど、娘の強い気持ちに打たれて、しばらくだけ預かりました。
「涼歌」は、きっとどこかで力強く生きている、そう信じています。



それでは、明日がみなさんにとって温かいふれあいに満ちた1日でありますように。

おやすみなさい。











追記
明日の更新はかなり遅くなるかも。
明後日の未明になると思います。
ご了承下さいね。




ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 15

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント

  • koji

    涼歌ちゃんとはいい名前ですね。
    今回も面白かったです。
    暖かいご家族がなによりですね。

    それから、スズメは飼ってはいけない、とは知りませんでした。
    勉強になりました。
    2009年10月16日 18:57
  • koji様>
    コメント、ありがとうございます。
    実は、本当は2羽落ちていたそうです。そのうちの1羽は、娘が見つけた時には自動車にひかれたあとでした。可哀想なことです。
    涼歌も青息吐息の状態だったらしく、それがよく空に帰れるまでに元気になってくれたと思います。
    2009年10月16日 20:27
  • marippechan

    こんな事があったんですね~☆(^-^)
    娘さん心のやさしい子に育ってくれたんですね。。♡
    どんな命も大切な命☆と子供達にわかるようになってほしいと心から思います(^-^)
    しかし涼歌ちゃん♪。。ステキな名前をもらいましたね☆
    2009年10月16日 21:32
  • marippechan様>
    コメント、ありがとうございます。
    自分の娘ながら、純粋に育ってくれたと思っています。その分、傷つきやすいので、社会の荒波への対応が大変ですけど。
    それと、ネーミングのセンス、よく思いついたなぁと感心しますよ。
    2009年10月16日 21:35
  • Beehive

    雀を飼ってはいけない法律があるとは知りませんでした。
    きっとその雀は悪い魔法使いに魔法をかけられていた王子さまで、きっといつか娘ちゃんを迎えに来ますよ。
    涅さん、さびしくなりますね。
    〈M〉

    2009年10月17日 16:20
  • 焔谷

    巣から落ちるって鳥にとっては
    深刻な事態なんですね
    2009年10月17日 22:51
  • Beehive様>
    コメント、ありがとうございます。
    涼歌、オスだったんですかぁ?!
    メスの設定にしてしまった!
    仮に王子様だとして、迎えに来てくれるのは大歓迎です!
    やはりこの時期、馬車はカボチャでしょうか?
    2009年10月18日 02:14
  • 焔谷様>
    コメント、ありがとうございます。
    ええ、大変深刻です。でも、強いものが生き残る、巣の中では激しい生存競争を繰り広げているようです。自然は厳しいですよね。
    2009年10月18日 02:16
  • koji

    確か、一度巣から落ちたヒナを人が巣に戻しても、親鳥はその子を育てない、と何かの本でよんだ記憶があります。
    涼歌ちゃんは、強運の持ち主ですね。
    2009年10月18日 05:41
  • koji様>
    コメント、ありがとうございます。
    そう言われていますね。人の匂いがつくと、親鳥は相手をしないとか。シビアな世界だなぁと思います。
    2009年10月18日 06:26

この記事へのトラックバック